So-net無料ブログ作成
検索選択

平成麻雀愚連隊(試作一号)ヒモ [小説]





 段々意識が回復し、空気の埃っぽさに目を覚ました。どうやら、布団も敷かずに自分の6畳部屋で雑魚寝していたようだ。よたよたと体を起こしてみると、体の節々が痛い。特に、腰のあたりの痛みと言ったら、とてもでないけどすぐに動けるような状態ではなかった。まだ、半分も空いていない目を開けようと目をこすると、入り口付近の本棚に黒い熊がいた。いや、熊のような大きな体をした黒ずくめの男が、漫画を読み漁っていた。
「おう。起きたんか。そろそろ、はじめよかぁ?パシリ君。」
彼の言葉で、昨日の事が段々思い出されてくる。タバコの吸い殻で山盛りのになった灰皿、屍のように倒れている人間が私と熊人間のほかに二人、ビールの空き缶が散在し、それらが自分の記憶を裏付けてくる。
この熊人間の名は、細山、通称ほっさん、アメリカのプロレスが大好きなラガー。つまり、ラグビーをしている体が大きい超ワル。怒らせると、家の屋根からかつ上がれて落とされそうになった事がある。彼の話を数点して、彼の人柄を知ってもらえたらと思う。彼は、見てくれは普通に少し足りないくらいの大男であるが、女の話になると、必ず「女のほうが自分に気が合って、周りもそう言っている。」という情報を付け加え、「仕方なしに付き合ってやろうかと考えている。」という持論を展開する。そして、そんな話は現実にはないわけで、常に待ち続けて、妄想し続けて、そして、「照れやがって。」と何もない事に酔いしれている。そして、仲間全員に女がいる状態になったときに、私が仲間の端から「女いるよね。女いるよね。女いるよね。。。。」と順に指をさしながら聞いて行って、最後にほっさんに「女、、、あれ?、、、?あああ!」とおどけて見せたら、「おどれぇぇぇぇぇえええ!!」と、首根っこと内股を担がれて持ち上げられ、窓際に連れて行かれ今今投げられそうになったところを、友人たちが数名で止めてくれて一命をとりとめるという事件、自分らの間では「女いたっけ事件」が分かりやすいかと思う。平成の世の中に「おのれ。」ならまだしも「おどれぇ」とは、なかなかない。頭に血が上ると常人離れした肉体を使って、滅しようとしてくるような火山のような人間である。しかし、仲間の中で一番の常識人であり、彼が普通の人間界との繋ぎ役になっていてくれている。別の話になるが、プロレスにはまりすぎで、相手の首を担いで自分のお尻を地面に叩きつけて攻撃をするスタナーという技があるのだけれど、ちゃかした仲間にイラつきすぎて思いっきりアスファルト上でスタナーを掛けて、食らった仲間と技をかけたほっさんが屍になる事件、通称「スタナー事件」という天然な所もある。
そんなほっさんがごちゃごちゃ言いながら語尾に「・・・パシリ君。」と言っていた。ふと我に返る。そして、両目を見開くとテーブルにマットが敷かれ手積みの麻雀パイが置かれている。卓上にはメモ用紙が一枚存在していた。よーやく寝ぼけた頭がさえてきて、現状が分かってきた。メモ用紙には、4人の名前、ほっさん、ヒモ、つよし、いっぽうと書かれていて、点数が各々書かれている。そう昨夜から徹夜麻雀をして、ラスハンを迎え雑魚寝して、朝なのか昼なのかわからんが空気の悪さに敏感な自分が起きたという状態なわけだ。
私の名前は、ひろ、通称ヒモと呼ばれている。怖い仲間から楽しい仲間、オタクな仲間や賢い仲間など、いろんな友人がいていろんな顔をもっている八方美人の男バージョンのようなものである。ドラクエの作戦で、「みんながんばれ」というのがあるが、私の作戦は「みんな仲良く。」である。いろんな人間に囲まれながら、常にたくさんのトラブルに巻き込まれ、いろんな人間に助けを求められ、そしていろんな人間に助けを求め、人を助けることもあるが、助けられる事も多々あるので、援助を受けるヒモから、ヒモと呼ばれている。女に貢がせている訳ではないが、そう呼ばれている。その名は、別に嫌いではない。なので、ゲームの主人公の名前をつけるときや、ネットのハンドルネームなどは、常にヒモとつけている。いろんな人間とかかわると言っても、一度に相手できるのは数人程度が限界である。依頼と言ったらなんだが、次々とフラグが立つというか、問題を解決したら別の人間とかかわり、それが解決すると、また、別の人間と掛かる。どんどん回転していく中で、常にとどまりそばにいるのが卓上にあるメモ用紙に名前を連ねた4名である。
ほっさんは、紹介したから、残り2名、つよしといっぽうである。つよしは、一番の切れ者である。今の人たちは、切れ者と言ったら、すぐ切れる人間と思うかもしれないが、そうではなく、昔風の切れ者である。そう、簡単に言うと天才なのである。中学の定期テストは常に上位一桁、塾などに通わず、試験期間だって私たちと遊んでいたのに常に500点満点に近い点数をたたき出す。コンピュータも得意だったので、試験問題をハッキングしてるんではないかというくらい勉強しないで高得点を取り続ける天才なのである。朝から晩まで一緒に遊んでいて、なぜ高得点をとれるのかと聞いたところ、「授業中に一回聞いてるやん、そやから、家に帰ってまでしなくてもええねん。」という天才的な回答をもらったことがある。一同に「それは、そーやけどな。」と天才には俺らの苦労はわからんのやろうなと思ったことがある。中学時代トップクラスの頭脳を持ち、いや、私は彼が日本の天才の一番、いや世界の天才と肩を並べる頭脳の持ち主だと思ってた。彼が、なぜ、近所の我々と同じそこそこの高校に入学してきたのかというと、「みんなと遊びたいやん。違う高校やと約束したりめんどくさいから、同じ高校にしといたわ。」という事だった。日本のどの名門高校にも入れる頭脳を持っていながら、遊ぶ約束がめんどくさいから、友達の多い高校にしてみたという天才的な採択に驚かされる。そして、イケメンでスポーツ万能、欲がなく、スマートに生きている天才なので、めちゃくちゃ女にモテる。けど、女と遊ばず、我々と遊ぶことを優先する。そんな天才がつよしである。
いっぽうは、言葉では言い表せれない奇才である。頭脳はつよしの次に切れ者であり、野球部に所属し、鼻の横にホクロがある。長身で、スポーツ万能、話口調も普通にしていると優しい感じでイケメンである。問題は、ノリを大切にしすぎているという事である。例えば、高校の文化鑑賞会があり、電車に乗って会場へ移動し、プロの演劇を見るという学校行事があり、先生から必ずこの時間の電車に乗りなさいと時間を言われ、集合時間を決められていた。私も、ほっさんも、つよしも、いっぽうもみんな集合時間30分前には駅に着いていた。
前の電車でも行けたのだが、ぐちゃぐちゃ話をしていて、電車を何本も見送った。女の子に人気のあるつよしは「つよぽん、一緒にいこうやー。」などと言われていて、「ありがとう。そやけど、こいつらと行くから、先に行っててー。後でねー。」などと青春メロドラマを演出している。それを見て「たぶん、俺に気が合って一緒に行きたいんやけど、声をいきなりかけるとすぐにバレてしまうから、みんなにチヤホヤされているつよしに声をかけてオブラートに包み、そして、本命の俺に近づこうとしている。どうだろう、彼女の気持ちを汲んでやって、みんなで一緒にあの電車に乗らんかね。」と、ほっさんが妄想を陳列せているところで、遂にいっぽうが口を開く。



「俺たちギャンブラーやん。」



3人で思った。また始まったと。。。
そう、いっぽうは、ふと思いついたことを実行しなければ納得のいかない人なのである。このノリを大切にしすぎているところがある。そのことを知っている我々は、なんとか違う話題に持っていこうとする。
「いや、高校生やで。」と私が言う。
「高校生のギャンブラーやん。」いっぽうも引き下がらない。早く思いついたことを言いたいようだ。
「そーやとしてもな、麻雀も無いし、ここは駅や、なんもギャンブラー性のある事はないやろ。」と言いつつも、これって、なんかうまいこと振ってしまっているような気になってくる。そして、いっぽうが満を持して、電車を指さしこのように言った。
「電車があるやん。俺らの運が勝つのか、電車が勝のか、勝負やん。」
「あーはじまったよ。」ほっさんが言う。
「朝からめんどくさいってばー。」と私が言う。
「いいね、どうする?」とつよしが煽る。
自信満々にいっぽうが説明に入る。「今の電車が出て、次の電車が来る。次の電車に乗らなければ間に合わないと先生が言っていた。つまり、俺らはその電車に30分前から駅にスタンバって、朝のひとときを楽しんでいたわけだ。いろんな同じ高校の人が、まだ乗らないんだなと思って先生に言われたように遅れないようにいく訳だ。遅刻して学校清掃の罰を受けたくないからだ。そこで、次の電車には大量の学生が乗ってくることが予想される。みんな時間にはルーズだからだ。そして、大量の同じ高校の人間が見ている中で、俺らは優雅にトークを楽しんでいく訳。会場に着いたそいつ等は、先生たちに駅のホームでくっちゃべってましたと言うだろう。何してんだあの馬鹿どもはと先生達はなるやろ。」
「間違いないね。」と私は言葉をはさんで、「バカはよして電車に乗ろう。」と言おうとしたが、聞く耳を持たないいっぽうは続ける。
「そこで、先生達が指定した電車を一本後らしたが、俺らの運が相互作用をなして、奇跡的に時間に間に合うという、電車の定時運送を狂わすほどの運の持ち主だという事を証明したいと思う。」
「もう、お前が最強の運の持ち主だと認めるから、電車に乗って、普通にいこうぜ。」と一応言ってみたが、効果はなく、「へ、あいつ等、焦って走って電車に乗ろうとしてらぁ、あはは、次の電車でも俺らの運で間に合うのによー。」と、もう止めることができない状態になってきていた。
ただ、いっぽうの良いところは、ごり押ししない事、「みんなの意見を聞きたいと思う。」と一応言う。けど、すでに最終指定の電車は出ているのである。
「いいんじゃない。やってやろうよ。」とつよし、「ま、演劇なんてキャラじゃないしな。」とほっさんが言い、「電車でたから、もうそうするしかないやろ。」と、普通の事しか言えないめんどくささがあるが一応私が言っておく。
そして、一本遅れた電車が来て、それに優雅に乗り、同じ高校の人間を探すが誰もおらず、何事も起こらず、電車も通常運転で、駅に到着し、まだ、運の勝利を疑わないアホどもは優雅にホームを後にし、優雅に会場に到着した。
会場の前で待っていた先生に「お前ら、なんや駅でしゃべっとって電車に乗り遅れたらしいな。アホなんか?何しとんねん?」と言われ、いっぽうは、「俺は、自分の運命に従ったまでや。それで、先生、今、何時や?どや、時計を見てみぃ。」と自信満々に言う。
先生は、いっぽうの自信満々の態度に後ずさり気味に時計を見る。



見事に遅刻である。



「いや、普通に遅刻やし。てか、めっちゃ遅刻やし。お前ら、大人なめんなよ。」と、先生は顔を真っ赤にして激怒している。そんなことは、全然気にしないで、いっぽうは「なんでや、なんで遅刻なんや。」と信じられないという顔をしている。つよしは、ニコニコその状態を見て楽しんでいる。ほっさんは「可能性は50%やったから、こうなっても仕方ないわ。次や次。」といっぽうを慰めている。私は「電車を一本後らしたからね。」と普通の事しか言えなかった。
先生の起こり具合は、ハンパではない。学校で一番成績の良いつよしと二番目に良いいっぽうと、問題ばかり起こすワルのほっさんと、私がからかっていると勘違いしているようだった。まぁ、そう思われても仕方がない。
「お前らに劇を見る資格はない。ここに立ってろ。」と言われ、会場の入口付近を指さされた。そんな指示に従うメンバーではないので、「じゃ、帰るわ。」と4人がハモった。「マクド行くか?」「吉野家でしょ。そこにあるよ。」と、日常に溶け込もうとしたら、先生もあせって、「わかった、会場に入れ、みんな劇を見ているから静かにな。」と言ってくるが、もう興味ゼロなので、「いいです。お先します。」と帰ろうとする。先生がさらに焦って、「頼むから入ってくれ、な、ほら。」と強引に会場に入れようとしてきて、つよしが「俺、劇見てみたいな。」というので、「じゃ。みんなでみるか。」となって、劇を見て帰ったという話。

翌日、遅刻清掃があり、みんな掃除したようだ。ただ、私は替え玉に掃除を変わってもらい高校の近所のラーメン屋でみんなの掃除が終わるのを待っていた。その辺は、みんなより一枚上手だ。

つづく





nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ゲーム